会長挨拶

日頃より当会活動にご理解・ご協力を賜りありがとうございます。

新型コロナウィルス感染症による影響は、個人の生活様式をはじめ、当会の活動にも大きな制限や影響を及ぼしました。特に定例会を開催できなかったことは痛恨の極みでした。なぜなら定例会で目にする他会員の姿勢に、励みや刺激などの影響を受けること、個々人の実践のあり方を問うこと、また、つながりを構築する大切な場であり、実際に定例会に参加できないとしても開かれた拠り所として機能を有しているからです。その他、種々の基本的な会運営の緊急対応が必要となり、他団体・協力機関等との協働なども縮小を余儀なくされました。しかし、私たちはメンタルヘルスに課題がある人々の権利と人権を守る責務を担っています。厳しいときだからこそ専門職として様々な課題に対し、柔軟に、前向きに取り組む姿勢が大切だと考え、新しい事業形式を模索しながら一年間取り組んで参りました。

昨年度は新たに2020年から2023年2期4ヵ年計画案として骨子と事業方針を打ち出しました。コロナ禍の中、会が向かうべき方向性を見据えて新しい事業形式や組織としてのあり方、研修の運営体制、情報共有の考案、他団体・協力機関等との連携などの検討を重ね、全国大会の翌年までに取り組むべき課題として引き継ぎました。会運営のあり方については、継続して検討する課題となっております。

以下に、2020年度の主な活動内容を報告させて頂きます。

2019年度の総括でもお示ししましたが、当会内に「新型コロナウィス感染症対策本部」を設置しております。今後も地域が抱える課題は更に多様化、深刻化していくことが予想されます。実践現場でお困りのことや悩み、要望等を遠慮なく頂けたらと思います。本対策本部へ寄せられた相談や質問、得られた情報等は、ホームページや、Facebook、メーリングリストにて全会員に向けて配信しています。是非、周りの方にもご周知をお願いいたします。
執行部の運営については、ChatworkやLINEなどのツールを活用し、役員間の効率的な情報共有、意見交換、意思決定が図れるような工夫を行いました。今後も専門的知識に基づき他ソーシャルワーカー団体との協働を含めた次世代の精神医療福祉を志向し、また、来年度の全国大会の成功へと向けた会の運営を実施して参ります。
財政面に関しては、事業の拡大や、過年度会費未納のため厳しい財政問題が生じておりましたが、年会費の増額と経費削減に取り組み、昨年度同様黒字決算とすることができ、会の安定財源の確保を図ることができております。
昨年度より設置された広報委員会では、広報誌の発行定着、ホームページのリニューアルと安定した運用、適切な情報管理のもとでのSNSの活用、オンラインツールの普及等の事業を展開しました。現在のコロナ禍においては、SNSの活用はとても重要な意味や位置づけを持つものになると捉えています。オンラインに馴染みのない方のために「Zoom交流会」を定期的に開催し、親睦を深める場を設けながら、新型コロナが収束するまで、会としての活動が継続できるように取り組んでいます。

当会の大きな柱である研修事業に関しては、教育研修委員会、基幹研修委員会を中心に初任者研修や独自研修の充実に取り組み、精神保健福祉士としての専門性の確立と自己研鑽を支援することに取り組みました。今後の研修事業については、参加し易い実施体制の充実を図るとともに、研修のあり方について検討していく必要があると考えています。

災害の分野では、主に災害派遣福祉チームぐんまDWATの支援体制強化のために会員を派遣しました。今後、近県の精神保健福祉士会や他ソーシャルワーカー団体とともに、頻発する自然災害に備え、発災時対策の推進ため一層の組織体制に取り組む必要があります。

司法ソーシャルワーク領域では、罪を犯した障害者・高齢者に対する社会参加や再犯防止につながる生活課題に精力的に取り組みました。司法の専門家との支え合い活動が、加害と被害をこえていかに精神保健福祉士が司法福祉における実践を紡いでいけるかが問われています。

政策提言事業では、地域福祉分野、医療分野、行政分野と多様で複合的な地域生活課題について共有し、「ヤングケアラー」と言われる子どもたちへの支援の必要性など、未来を見据えた5つの項目のソーシャルアクションに取り組みました。2022年より高校の保健体育の教科書に精神疾患が40年ぶりに記載され、学校現場でメンタルヘルスの教育が展開されます。今年度は、未来を担う子供たちが助けを求め易くなる社会の構築や、偏見の解消につながる働きかけを考えています。

全国大会委員会では、多くの会員にご参集頂き、少しずつ紡ぎあげて形作っているところです。そして、いよいよ2022年9月2日(金)、3日(土)、Gメッセ群馬で群馬大会が開催されます。いつの時代も前向きに生きるスタンスを持ち続けたいというメッセージを込め、メインテーマを「七転び八起き」としました。この全国大会は、実行委員だけで作り上げるものではなく、会員の皆様にも様々な形で関わって頂きたいと考えています。ご参加して下さる方の琴線に触れ、更なるソーシャルワーク実践の質や、精神障害者の福祉の向上に導いてくれる、そんな「ぐんま 2022」を思い描いています。

これら取り組みは専門職としてのアイデンティティを個人では獲得することが出来ないことと同様に、個人ではやり遂げることのできない活動です。コロナ禍で制限のある中、さまざまな場面で持ち味を活かし、会の活動を陰で支えてくれた一人一人の会員の皆様に対して敬意を表するとともに、皆様のご理解とご協力を心より感謝しお礼申し上げます。

少し地域社会をめぐる問題にも触れたいと思います。

国が推進する「地域包括ケアシステム」の理念は、地域社会への参加の契機を重視しています。一方で、核家族から流動化家族、そして無縁社会と言われる現在は、共同体の力が衰退し、その中で社会的弱者が一層社会的孤立を深めている現実があります。内閣府より発表された40代以上(40~64歳)で引きこもりの状態である人が約61.3万人、若年層と併せると100万人もの人が社会とつながりを持てていないと公表されました。更に、メンタルヘルスに課題を抱えた人々は社会からはじかれやすく、地域で生きる困難は想像に難くありません。昨年3月に厚生労働省が2020年度における自殺者数の確定値を公表しました。昨年1年間の自殺者の総数は、21,081人。リーマン・ショック後の2009年以来、11年ぶりに前年を上回りました。男女では男性が23人減った一方で、女性の自殺者は935人増の7,026人と大幅に増加。小中高生の自殺者数は499人で、統計のある1980年以来、最多でした。新型コロナウィルス感染者の拡大で個人の生活様式や環境の変化、雇用など先行きへの不安が心理的な負担になっていると考えられています。また、虐待、DV事例の急増、あらゆる形態の差別、人権侵害、頻発する災害、貧困の拡大と世代間連鎖、社会保障制度の劣化、それらが日本社会の閉塞状況を一層加速させ、さまざまなメンタルヘルスの問題に直結し、社会的弱者は更なる苦境に立たされています。

 現在、地域社会には課題が山積しています。しかし、厳しいときだからこそ地域づくりの担い手として、また、より良い人生の伴走者としての役割とはいかに在るべきか検討する必要があります。繰り返しになりますが、私たちはメンタルヘルスに課題がある人々の権利と人権を守る責務を担っています。今一度、国家資格化された経緯とその歴史的使命に立ち返りながら、Mental Health Social Workerとして、会員が一丸となって新たな時代のニーズに応えられるようなソーシャルワーク実践に力を注ぐ必要があります。

最後に、私たち一人ひとりの取り組みが県民の心の健康づくりや精神障害者の福祉の向上を図る未来を創ることと信じて、各種事業を一層推進して参りたいと考えますので、本年も群馬県精神保健福祉士会の活動に皆様の御協力をお願い申し上げます。

2021年6月

群馬県精神保健福祉士会 会長 林 次郎

沿革

1993年群馬県精神医学ソーシャルワーク研究会発足
2001年精神保健福祉士法施行に伴い、群馬県精神保健福祉士会に名称変更
2006年公益社団法人日本精神保健福祉士協会群馬県支部を受託

2020-21年度 役員

会長林 次郎 <東部地区>
副会長加藤木 啓充 <中部地区>    中嶋 淑子 <東部地区>
事務局長狩野 敦
理事<北部地区>
永尾 奈生実  番場 祐太
<中部地区>
鎌塚 建司   佐藤 晶彦   福永 晋太郎
<東部地区>
片山 和也   小林 拓人
<西部地区>
阿久津 綾香  鈴木 琴子   富澤 洋平   茂呂 和弥   
監事天笠 純恵   池田 朋広
群馬県支部代議員横澤 岳志